ついに“健康格差”が広がり始めた!? がんでも病院に行けないワーキングプアたち
という恐ろしい記事を見つけました。気になる箇所を引用し、ご紹介させていただきます。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
世界一の長寿命国といわれる日本。だがひょっとすると近い将来、その地位から転落するかもしれない。経済格差が拡大するにつれ、“健康格差”の影が広がりつつあるからだ。
「医療費が支払えず相談に来られる方で、重度の糖尿病を患っているケースがけっこう多いんですよ」
と打ち明けるのは、石川県にある総合病院のソーシャルワーカー、Aさん。糖尿病といえば、“金持ち病”というイメージがあるが、Aさんは「むしろ、貧困を抱える人に多いのでは」と言う。
「独り暮らしのワーキングプアはお金がないと、安いジャンクフードでおなかをふくらませるしかない。そんな生活をずっと続け、体重が増えてしまった人は結構見受けられますよ。その結果、糖尿病や心臓疾患を患う方が少なくないですね」
米国や英国ですでに健康格差が存在するのは周知の通り。低所得者層は食生活や健康管理に気を配る経済的ゆとりはなく、肥満になりやすいという。同じようなことが、ここ日本でも起こりつつあるのだろうか――。
もはや健康保険証はぜいたく品?
ワーキングプアが直面しているのは、食生活の劣悪化だけではない。病院に行かず、死の直前まで病魔を放置せざるをえない人々もいる。
全日本民主医療機関連合会(全日本民医連)が加盟医療機関を対象に行った調査によれば、経済的な理由から受診が遅れ、死亡に至った事例は2009年の1年間だけで少なくとも47件にのぼっているそうだ。
2008年度の国保の納付率は88%。国民皆保険制度が始まって以来最低の割合だ。一部の失業者や非正規雇用の人々にとって、健康保険証は“ぜいたく品”となりつつあるのかもしれない。
日本の医療費は“パチンコ市場”と同程度
だが、医療が受けられず健康格差にさらされているのは、無保険の人ばかりではない。
同連合の調査では、健康保険証を持っているにもかかわらず、経済的な事情で受診が遅れ、死亡した例が10件、報告されている。中には正社員の人もおり、ワーキングプアが非正規雇用だけでなく、正規雇用にまで広がっていることをうかがわせる。
国の医療制度には、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される「高額療養費制度」もあるが、窓口で払う3割の自己負担金そのものに耐えられない、という人が少なくないようだ。
そもそも、「フリーアクセス」「平等給付」が国民皆保険制度の身上。健康保険証1枚あれば、いつでも誰でもどの医療機関でも受診でき、患者にとってはありがたい制度といえる。おかげで、日本の医療はWHOの健康達成度総合評価でも世界第1位だ。
「だいたい3割という自己負担率は、じつは世界の中でもトップクラスの高さなんです」と済生会栗橋病院副院長 本田宏氏。
たしかに、同じように社会保険制度を導入しているフランスやドイツでは、自己負担率は5%程度。北欧では基本的にゼロだ。
「国民皆保険が達成された1961年当時は、まだ国が貧しく、自己負担率は5割でしたが、その後サラリーマンは1割となりました。それが一気に3割へと引き上げられたのが2003年です。
このとき政府は『高齢化で医療費が増えるため、国民の皆さんにも負担をお願いしたい』と説明した。国民も、日本の医療費は高いからしかたがない、と涙を飲んで納得しました」
しかし、ほんとうにそうなのか。じつは“情報操作”されているだけなのでは、と本田氏。
「日本の医療費はGDP比8%程度で、先進7ヵ国中最低なんですよ。規模にして34兆円ですが、これ、パチンコ業界の市場規模とさほど変わらないんです。他業界と比べても突出しているわけじゃない。
しかも、これから高齢化がどんどん進むわけだから、医療費は上がるのが自然です。ところが小泉政権は、2002~06年度まで社会保障費を1.1兆円、その後5年間にわたって年2200億円削減する自然増抑制策を取り決めた。国民の負担が増えるのは当たり前でしょ」
( 引用 : 平成22年5月7日 ダイヤモンド・オンライン )
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
※関連記事
ガンの年間治療費「133万円」
・「 金の切れ目、命の切れ目 」 高額医療費:「負担感」年々増加