日本で癌になる人の3.2%は、X線検査に伴う放射線の被曝が原因。

 
現在、福嶋第一原発の爆発による放射線の被害に関するニュースが日々報じられていますが、ニュースの中で、この程度の被爆量なら問題ないですよ、ということを伝えるために、下記のような図を紹介されることがあります。




本日は、その中でよく比較をされるX線検査と発がんに関する情報をお伝えさせていただきます。

胃のバリウム検査(直接撮影)では一般に、平均して15から25ミリシーベルトの放射線を浴びるとされています。
シーベルトとは、放射線の種類による違いを加味した生体への吸収線量の単位です。
1年間に自然に浴びる放射線量は1から1.5ミリシーベルトといわれていますので、胃バリウム検査ではその約10から25倍もの放射線を短時間に浴びてしまうことになります。

短時間にこのような大量の放射線を浴びると、遺伝子の本体であるDNAの一部に傷をつける可能性があります。
さらに毎年バリウム検査を受け続けるとすると、この放射線による遺伝子の傷害が次第に蓄積されていくと考えられており、長年にわたるDNAへの影響により、最終的に発がんに至ってしまう可能性が否定できません。

参考として、直接撮影による胸部X線写真による放射線被爆量は0.07から0.1ミリシーベルトですので、胃バリウム検査では、何と通常の胸部X線写真の約150から350倍の被爆があることになってしまいます。


2004年にLancetという学術雑誌に英オックスフォード大のグループが、日本で癌になる人の3.2%は健康診断や病気の診断を目的とした医療機関でのX線検査に伴う放射線の被曝が原因と推定されるというショッキングな研究結果を発表しました。

この研究は、各国の放射線検査の頻度、検査による被曝量、さらに年齢、性別や臓器ごとの放射線の被曝量と発癌率の関係についてのデータから、放射線検査に起因すると考えられる発癌者数を推定しています。

日本では1年間に7587件、何と癌発症者全体の3.2%が、医療機関での放射線暴露に関係するとの結果がでました。

英国とポーランドが0.6%と最低で、アメリカは0.9%、調査が行われた15か国の中で日本が最も高率でした。

日本は1000人あたりの1年間の放射線検査の回数が1477回と最も多く、この数字は15か国の平均の1.8倍、発癌率は平均の2.7倍であり、また1回の検査あたりの被曝量が他国に比べてより多い(被爆量の多い胃バリウムやCT検査が多く行われているため)ことが明らかになりました。

がんの検査によって、発がんするというこの事実を、皆様どう思われますか?