糖尿病と睡眠 ~眠りの質を高めて健康に~

 
睡眠と糖尿病との関連を調べた米国の研究で、2型糖尿病患者での睡眠の質の低下が、インスリン抵抗性や血糖コントロールの悪化に関与している恐れがあると発表されました。

「糖尿病治療の目標は、血糖の良好なコントロール状態を維持し、健康な人と変わらない生活の質(QOL)と寿命を得ることにある。
睡眠の質が低下している患者では、睡眠を改善することが糖尿病の治療の向上にもつながる」と米シカゴ大学医療センターのKristen Knutson氏は指摘しています。
この研究は米国糖尿病学会(ADA)が発行する医学誌「Diabetes Care」2011年5月号に発表されました。


今回の研究でKnutson氏らは、2型糖尿病患者40人と糖尿病ではない531人について、睡眠の質、血糖値、糖尿病コントロールに関わる評価を比較。
不眠やいびき、睡眠時無呼吸といった睡眠障害の症状について問診し、血液検査を行いインスリンと血糖値を調べました。

睡眠の状態については、夜間に活動モニター機を手首に装着してもらい記録。
就眠中に手首がよく動く場合は、その人はおそらく良質な睡眠を得られていないと推定。
また、なかなか入眠できなかったり、夜間に覚醒した場合には報告してもらいました。

その結果、糖尿病で睡眠の質が低下している患者では、睡眠が正常な患者に比べ、朝食前の血糖値が23%高く、空腹時インスリン値も48%高いという結果でした。
また、糖尿病患者の中でも、睡眠の質が低下している人では正常な人に比べ、インスリン抵抗性が82%高くなっている(インスリンが分泌されているにも関わらず、血糖値が低下されづらい状態)ことが分かりました。


睡眠障害によって高血糖が引き起こされ糖尿病を発症するのか、高血糖が睡眠障害を引き起こすのか、あるいは他の要因がからんでいるか、というところまでは分っていないようですが、いずれにしても睡眠の質を改善させることが重要であることは間違いありません。

良い、睡眠を手に入れるためには、こんなことが必要であるといわれています。

◆起床時刻を決め習慣化する
◆睡眠を妨げるカフェイン、アルコール、煙草を使わない
◆休日のまとめ寝は逆効果
◆睡眠前に熱いお風呂に入らない
◆睡眠前に食事を摂らない

これらのことは、確かに正しいことかもしれません。
ただ、眠れない人がこういったことを無理して心掛けると、かえって「自分は眠れないんだ!」と思い込んでしまうことにつながります。

もっとも大切なのは、「眠ろうと意識しないこと」だと思います。
眠ることは、人にとって生きるために欠かせないものです。
そのため、必ず睡眠が必要な状態では、眠れるのです。

では、必要な状態とは、どういう状態でしょうか。
それは、日中しっかりと活動し、疲れることです。
疲れは、ミトコンドリアにとって、睡眠による休息が必須の状態です。
睡眠は、ミトコンドリアを元気にするためにも必要なのです。


(引用:2010.5.20 JPALD)