風邪薬の副作用で死亡することも

 

風邪薬などの副作用で起きる皮膚疾患「スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)」と、その症状が悪化した中毒性表皮壊死(えし)症で、今年1月までの2年半に全国で131人が死亡したことが厚生労働省のまとめで分りました。

 

SJSは10年以上前に問題化。

厚労省は10年9月、製薬業界に対し、一部医薬品の添付文書に副作用として追記するよう求めましたが、発症メカニズムは未解明で依然として被害は深刻なままです。

同省は「初期症状が疑われたら、早期に受診を」と改めて注意を呼び掛けています。

 

「SJS患者会」代表で歯科医の湯浅和恵さん(59)=東京都渋谷区=は91年、風邪薬を服用後に全身に発疹が広がり、一時寝たきりの生活になってしまいました。

 

今は左目を失明し、歯科は休業中。

湯浅さんは「誰もが使う医薬品で起こりうる。生活が急変し、ショックを受ける患者の精神的ケアの充実も図られるべきだ」と訴えています。

 

原因と推定される医薬品は抗てんかん剤や解熱鎮痛消炎剤、総合感冒剤など。

 

こうした医薬品を投与する医師は、初期症状の皮膚疾患に必ずしも精通しておらず、診断が遅れる可能性があります。

 

また、総合感冒剤などは市販薬も多く、症状が薬の影響と気付かない人も少なくありません。

 

SJSは年齢層や持病によって発症傾向があるかどうかも分かっていません。

 

 

◇スティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)

 

高熱を伴って発疹ややけどのような水ぶくれが全身や口、目の粘膜に現れます。

原因は解明されていませんが、体内の免疫力が過剰反応して起きると考えられています。

発生頻度は100万人当たり年間1~6人とされ、臓器障害などの合併症を起こして後遺症が残ったり、死に至ることもあります。