生活保護費、10年で急増!


生活保護は、とても素晴らしい制度であることは間違いないと思います。

厚生労働省のホームページによりますと生活保護とは「資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。」とあります。

自立を助長・・・

果たして、それは実現できているのでしょうか。

ますます厳しくなる状況の中、そして医療費の高騰が続く中、早く国民が納得できる、そして活気が戻る解決策を出していただきたいですね。




厚生労働省による5年に1度の生活保護の検証で、生活費にあたる「生活扶助」が低所得世帯の生活費を一部で上回る「もらい過ぎ」の実態が分かった。

不正受給問題も指摘されており、生活保護の水ぶくれを放置すれば国民負担は増す。

難題の年金・医療改革を占う試金石にもなるが、衆院選で生活扶助の1割削減を掲げた自民党の腰は引けている。

 

厚労省の検証結果によると、夫婦と子2人の4人家族の生活保護世帯で、一般の低所得者の生活費を16.5%上回った。

2050代の単身世帯では1.7%上回った。

 

「全体として引き下げることになる」。

田村憲久厚労相は16日、厚労省の検証結果を受けて明言した。

2013年度から生活保護の支給額を引き下げる方向で、1月中に下げ幅を決める。

 

高額な収入を得ている芸能人の母親が生活保護を受けていた問題をきっかけに、自民党は抜本改革を訴えてきた。

昨年末の衆院選では、支給水準の1割引き下げをはじめ、生活保護費全体で8000億円の国費を削減するとの公約を掲げた。

 

厚労省の検証では、60歳以上の高齢者世帯で生活保護費が低所得者の生活費を下回った。

高齢者世帯は全体の約半分を占める。

多人数世帯のもらい過ぎを是正する一方、高齢者の不足分を増やせば、自民党の1割削減を実現するのは難しい。

政府・与党はひとまず全体で2~3%の引き下げを軸に検討を進める。

 

仮に3%の引き下げなら、削減額は300億円にとどまる。

公約通り生活扶助を1割削減できても1000億円。

夏の参院選を前に、痛みを伴う改革を進めるのは難しい面もあり「8000億円削減」は掛け声倒れに終わる可能性が高い。

 

生活保護費の半分を占める医療扶助の削減にもメスが入らない。

自民党は先発薬より価格の安い後発薬の使用を義務づけることを公約していた。

だが、厚労相は昨年末の就任時に「義務化は難しい」と早々に方針を転換した。医療費の自己負担も導入しない方向だ。

 

生活保護の受給者は医療費が全額公費で賄われる。

医療機関には「取りはぐれ」の心配がないため、過剰な診療が一部で問題になっている。

受給者を受け入れられる病院の要件を法律で明確にしたうえで、過剰な診療や不正受給がないか定期的に公的機関が点検する。

ただ、こうした不正対策がどこまで効果を上げるかは未知数だ。

 

受給世帯の約半分は低年金の高齢者だが、リーマン危機以降は本来なら働ける若者の受給者が増えている。

最低賃金と同程度の支給水準だと、就労意欲がそがれて、保護から抜け出しにくいと指摘される。

職業訓練などの就労支援とあわせ、受給者が再び働きだせる制度設計も必要になる。

 

(2013年1月17日 日本経済新聞)