親が高齢で癌を発症した場合は、子も同じ癌を発症するリスクが高い

 

親が高齢であっても子が同じ癌を発症しやすい

 

親が高齢になってがんを発症した場合でも、子どもが親と同じがんになるリスクは高いということが、スウェーデン国民のデータ分析を行った結果明らかとなった。論文は、ドイツ癌研究センターのElhamalsadat Kharazmi氏が作成、BMJ誌電子版に20121220日に掲載されている。

 

がんの多くは遺伝的要素が関係すると考えられているのだが、高齢になってからがんを発症した場合の、遺伝的素因の関係は明らかにされたことがなかった。

 

著者らは、親の世代が80歳以上という高齢になってから発症した場合にも、家族ががんになるリスクが認められるかということを検証するために、国家規模で研究を実施した。

 

 

生活を改善することによってリスク低減が可能

 

データ分析にはNationwide Swedish Family-Cancer
Database
2010年の最新データを利用した。その中で1932年以降に生まれた全てのスウェーデン人と両親を対象とし、19612008年に癌と診断されていた患者が親と子が同じがんに罹患したかについて調査した。またその内、高齢になってからがんを発症したという人を調査対象に選び、親子で同じ癌を発症した人を抽出した。

 

その中で最も多かったのは大腸がんであり、次いで肺がん、乳がん、前立腺がんという順番であった。親子関係や年齢外に関係がありそうな、性別や追跡期間、社会経済的状況、居住地域、子の追跡開始時点と終了時点の親の年齢、慢性閉塞性肺疾患、飲酒については調整した。

 

調査の結果、親が若年齢だけでなく高齢になってからがんを発症した場合も、子ががんになるリスクは高いということが示され、親のがん罹患である場合、子のがんの予測因子になると考えられた。一部のがんについては、生活を改善するなどのリスク低減が可能、と著者らは述べている。

 

 

<2013年1月13日 QLifeProより>