潜伏がんとは、何かの病気で死亡した人を解剖したときに初めて発見されるがんのことを指します。
その発見頻度は、甲状腺では10%、前立腺では40%にものぼります。
ということは、現在生きている人も、熟年に達していれば、それと同じ頻度で潜伏がんを抱えているということになります。
ところが、実際に甲状腺がんで亡くなる人は、国民総死亡数の0.1%、前立腺がんは男性総死亡数の1%にも及びません。
つまり、潜伏がんのほとんどすべてのがん細胞は、細胞分裂を行うスピードをゆるめ、人を死に追い込むまでの成長をしないということがいえます。
潜伏がんは、胃、大腸、肺、子宮など、どの臓器にも存在しているということがわかっています。
どうやら、がん細胞の中には、このように成長がゆるやかなものが多く存在しているようです。
この事実を考えると、がん検診で見つかるような自覚症状がない、初期のがんを治療するべきかどうかということが課題になると思います。
負担のない、治療であれば、治療をすべきかもしれませんが、大きな副作用を伴うような治療の場合は、生活習慣を改善した上で、しばらく様子を見るという選択もあるのではないかと思います。
( 引用:「患者よ、がんと闘うな」著者:近藤誠 )