CTもMRIも普及率世界一

 
経済協力開発機構(OECD)によりますと、先進国28カ国を比較した結果、日本はコンピューター断層撮影装置(CT)や核磁気共鳴画像診断装置(MRI)の普及率がダントツの世界一であることが分りました。

日本は2008年10月時点、他国は2007年ベースでのデータによると、人口100万人当たりのCTの日本の設置台数は96.1台で、米国(34.3台)やドイツ(16.3台)などをはるかに上回っており、(MRI)の100万人当たりの設置台数も日本は42.7台で、こちらも米国(25.9台)やフィンランド(15.3台)を大きく引き離して1位でした。

こうした検査機器は、微細な病変などを画像的にとらえることができるという意味で、医療の質の向上には貢献しているかもしれません。


CTもMRIも1台数億円と高額です。病院は、この購入代金を支払うための利益を生み出す必要があります。そのために、フル活用されるという傾向があります。ちょっと腹痛や腰痛を訴えただけでもCT検査をするということが多いようです。

CTやMRIの1回の撮影に造影などが加わると、1万円以上の診療費になります。

現在、日本では、医療費の高騰が大きな問題となっておりますが、CTやMRIなどの検査機器を過剰に導入せず、せめて他国と同レベルの数にするだけでも、医療費の抑制に大いに貢献できるものと思われます。


また、医療機器が普及することの弊害として、医師の能力低下にもつながっているようです。

つまり、診断を医療機器に頼る傾向があり、問診、聴診、視診、触診などの基本的な診断をそこそこに画像診断や血液検査を行うといった方向に進んできるように思われます。

医師は、患者さんのさまざまな症状を聴いたり、診たりして、病因の可能性を考える義務を負っているはずですが、大学病院などの大規模病院で、研修医時代から検査や高度診断装置に頼る医療を体験し続けると、自分の目や耳、手で情報を得て、仮説設定(鑑別診断)を行い、最終的にどのような検査を行うかを必死に考えるというトレーニングがなされない状態になります。

こういった診断が常態化すれば、自分の力では診断できない医師が増えていく危険性があるのではないでしょうか。