高額な薬による患者の負担:患者3割が貯蓄を崩す。

 
抗がん剤など高額な薬を使う患者のうち、医療機関への支払いのため貯金を取り崩している患者が約3割に上ることが全日本民主医療機関連合会(民医連)の調査で分かりました。

さらに借金して支払っている患者が約3%もいらっしゃるそうです。

がんや継続的に投薬を行う難病、慢性疾患の負担の大きさが、浮き彫りになりました。


民医連は、病院や診療所、薬局など医療・福祉にかかわる1700以上の団体からなります。

今年3~6月、抗がん剤やリウマチ治療薬、インスリン製剤といった高額薬を使う患者を対象に、加盟する327薬局を通してアンケートを実施しました。

137カ所(41.8%)から978人分の回答がありました。


支払いについては、60.3%が「生活費を切りつめている」、29.2%が「貯金を取り崩している」、2.7%が「借金をしている」との回答でした。

リウマチ治療薬の使用者では、貯金を取り崩している人が56.2%と過半数に上り、抗がん剤も使用者の43.7%が貯金を崩しているようです。

また、全体の13.7%が「医療機関の受診を中断した経験がある」と答え、中断経験者の50.7%がその理由が経済的な理由でした。

なお、自己負担3割の場合、1回当たりの窓口負担額は、平均でリウマチ治療薬3万1629円、抗がん剤2万5505円、インスリン製剤6358円。


先日、厚生労働省より2010年度の医療費が発表されました。

その額は、36兆6千億円で、過去最高を更新。

前年度より1兆3700億円多く、8年連続で増加。

高齢化を背景に70歳以上の医療費も増えており、16兆2千億円と全体の44.3%を占めました。


2015年には、3人に2人ががんになり、2人に1人ががんで亡くなるといわれています。

このまま、治療を薬に頼っていては、国も国民も苦しくなる一方です。

まったく薬をしようしないということはありえないことですが、薬に頼りすぎていることは事実です。

病気に対する考え方、治療に対する考え方を皆で、見直し、この現実を回避していきたいものです。