退院後の外来ガン患者では血栓リスクが高い

 
化学療法を受けているガン患者では退院後の血栓発症が非常に多いことが、新しい大規模な後ろ向き観察研究で示され、米サンディエゴで開催された米国血液学会年次集会で発表されました。

血栓は静脈血栓塞栓症とも呼ばれ、たんぱくや血小板の凝結が血塊となって血流を遮断します。

なお、癌患者に血栓が1個発生すれば、他にも発生する可能性はかなり高いことが分っています。

今回の研究で、米ロチェスター大学メディカルセンター、ジェームズP.ウィルモット癌センター(ニューヨーク州)教授のAlok Khorana氏らは、癌患者1万8000例近くを4年間追跡評価しました。

その結果、5.6%に血栓が認められ、その78%が外来患者として治療を受けていました。

Khorana氏は次のように話しています。

「癌診断後、患者5例中1例に血栓が発生し、その数は増加しつつある。米公衆衛生局長官は最近、静脈血栓塞栓症を低減させるための行動喚起を発表しました。そうすることで医療費が減少する。我々が現状で準備する必要のある公衆衛生上の課題は、血栓予防の重要性を患者に教育する方法と、予防的治療のコンプライアンス(遵守)を改善させることである。患者は気分がすぐれていても、四肢の腫脹、発赤、息切れなどの異常症状を認めた場合には、すぐに医師に報告すべきである。」

血栓は、ガンに次いで死因が多い心疾患、脳機能障害の主原因です。

この事実を受け止め、ガン治療について改めて考える必要があると思われます。