生活保護の半分が医療費に

 

今や200万人以上が受けている生活保護。

実はその費用の約半分を医療費が占めています。

 厚生労働省によると、2011年7月末に過去最多の205万人を記録し、同年10月末時点では207万人まで数字を更新しました。

これは戦後の混乱期を上回る水準です。

高齢化が進み、身寄りもなく困窮するお年寄りが増えたことや、長引く不況で職を失う人が増加し、働き盛りの受給者も目立ってきたことが要因と見られています。


◆生活保護とは・・・

生活困窮者に対し、憲法でうたわれた『健康で文化的な最低限度の生活』を、公費で保障する制度。

福祉事務所に申請して認められれば、食費や光熱費などの生活費、家賃などが支給されるほか、医療費は全額を公費から出してもらえます。

こうした費用は、国が4分の3、地方が4分の1の割合で負担。


生活保護にかかる費用は年々増えていて、09年度には3兆円を突破しています。

09年度の実績を見ると、受給者の医療費である『医療扶助』は保護費全体の48・3%でした。

過去10年の実績を見ても、医療費は50%前後で推移しています。

そもそも受給者の3割以上が病気や障害のある人で、高齢者も4割を超えているので、医療機関にかかることが多い傾向にあると考えられます。

しかし、自己負担がないだけに、安易な過剰受診や不必要な検査が横行しているという問題が近年増えてきています(大阪などでは、多くの医療機関を受診して大量の向精神薬を入手した受給者が、インターネットで薬を転売。奈良の病院が、架空の治療や不必要な手術で診療報酬を不正受給した事件など)

受給者の医療費は自治体が直接払うので確実に受け取ることができ、頻繁に受診があれば利益につながるので、受給者をターゲットにしている医療機関が増えているともいわれています。

厚労省が09年度の受給者の受診状況を調べたところ、2日に1回以上の高頻度で、3か月以上続けて通院した『頻回通院者』が全国で1万8217人でした。

うち3874人が、自治体に『過剰受診』と判断され指導を受けましたが、改善したのはその3割程度。


最低限の保障は必要かもしれませんが、制度の悪用により高騰続ける医療費に拍車をかけているこの事実を受け止め、変革を起こし、医療費・税金の無駄遣いを減らしていきたいものですね。


引用:2012年1月23日 読売新聞