タバコと歯周病

 

歯周病は、歯と歯肉の境目に付いた歯垢(プラーク)の中の細菌によって歯肉が炎症を起こし、歯を支えている骨が破壊されていく病気で、以前は歯槽膿漏(シソーノーロー)と呼ばれていました。

 

この歯周病を予防するには、歯垢を歯ブラシや歯間ブラシを使って機械的に取り除くプラークコントロールが最も有効であることは、皆さんよくご存知の通りです。

 

ところが近年このプラーク以外に重大なリスクファクター(危険因子)があることが徐々に明らかになってきました。

 

それはタバコです。

 

 

一般にタバコを吸う人は、吸わない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告があります。

 

また喫煙本数と比例して歯周病が重症化することも分かっています。

 

ではどうしてタバコが歯周病を悪化させてしまうのでしょうか?

 

1)歯周病菌と戦う白血球の機能が低下してしまう。

2)歯肉に酸素や栄養を供給するのに大切な血管が、タバコのニコチンにより収縮してしまう。

3)歯肉を修復するために必要な線維芽細胞の働きが抑制される。

4)歯と歯肉の境目にある溝の中の酸素が不足し、酸素が大嫌いな歯周病菌にとって繁殖しやすい環境を作ってしまう。

 

 

歯周病の害は、口腔内の出血、腫れ、口臭、不快感、そして歯が抜け落ちるということの他に、体内にも様々なダメージを与えてしまいます。

 

その代表は、糖尿病ですが、その他にも狭心症、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、高血圧、高脂血症、低体重児早産、誤嚥性肺炎、骨粗しょう症、関節炎、腎炎などの発症の原因にもなってしまいます。